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たとえば、お腹がすいたときにアメを食べると、一時的に空腹感が薄れることってあるでしょ。
これはグルコースという物質によって血糖値が上がり、脳が刺激されるからなんです。
このほかにも、満腹物質についてはいくつかの化合物が見つかっています。
そのなかには、実際に肥満に有効なのではという化合物もありますけど、すぐ人間に使えるというところまではいってませんね。
まだまだ研究途上といったところです」あなたは虫を食べたことがあるだろうか。
大半の人はノーだろう。
それどころか、虫を見ただけで悲鳴をあげる女性も多いに違いない。
しかしそういう人でも、好む好まざるにかかわらず虫を食べたことがあるはずだ、というのはT大学教授のMさん。
「というか、知らないうちに食べているんですよ。
たとえば米に混じっているコクガ類の幼虫とか、栗に入っている虫とかね」知らず知らずに食べている虫の話はさておき、現在、食用として世界で食べられている昆虫は約200種類。
そして、日本でも約50種類もの昆虫が食べられるているという。
「昆虫はごく一部を除いて、だいたいどんなものでも食用になる、あるいは食べても毒にはなりません。
世界中で食べられている最もポピュラーな昆虫は、バッタでしょうね。
そのほかにコオロギ、カマキリ、セミ、タガメ、ハチやアリ、そしてウジや力まで、ありとあらゆる昆虫が食べられています」虫を食べるというと、ゲテモノ食いの悪趣味のように感じる人も多いだろうが、食べるものに乏しかった時代や、また現在でも食糧事情の悪い地域では、昆虫は重要なタンパク源であり、ところによっては噌好品でもある。
虫ってどんな味食虫の習慣はヨ−ロッパでは比較的少ないらしいが、それは気候が寒くてあまり昆虫がとれないからで、オセアニア、アジア、アフリカ、中東、北米、南米と、それこそ世界中で虫は食べられていたし、現在も食べられているという。
「現時点でいうと、食べられている昆虫の種類からいえばメキシコあたりがトップだと思いますが、量でいったら、やはりアフリカがいちばんでしょう。
アフリカの砂漠地帯では、干ばつで食糧がなくなると、大発生して移動してきたバッタを捕まえて食べて、体力を回復させるんです」中国や東南アジアで珍重されているタガメは、タンパク源の確保というより、むしろ噌好品として用いられている例だろう。
「日本でも最近まで田んぼによくいましたが、いまはデパートで一匹何千円という値段で売られています。
カメムシに近いから独特の匂いがあって、それを楽しむというわけです。
蒸して食べたり、焼いて食べたり、また粉にして香辛料と混ぜて用いたり、ペースト状にしてソースにしたりする。
タイやベトナムの露店ではタガメをたくさん並べて売ってますけど、一匹ずつ匂いをかいで、匂いの強いものを選んで買うんだそうです」ところで、わが日本でいちばん昆虫を食べているのは、断トツで長野県だそうだ。
イナゴはもちろん、ハチノコとザザムシも有名で、缶詰にして外国にも輸出されているほどだという。
「やはり新鮮な魚が手に入りにくい山国では、昆虫が貴重なタンパク源だったということでしょう。
それから長野は養蚕が盛んだったのですが、かつては飼っているカイコをつまんで食べたり、糸くりの女工が作業をしながら、繭の中から出てきたサナギを食べていたという話も聞きます」食べ方は多岐にわたっている。
生で食べるものから、前処理をほどこして味を整えてから食べるもの、加工して原形をとどめないもの、などなど。
もちろん材料は新鮮なものがよく、できれば生きたまま調理するのがベストだという。
「カミキリムシの幼虫の刺し身はほんのりと甘味があり、ゼリーがとろけるような感触でうまいらしいですよ。
ハチの幼虫やカイコの成虫を妙って、塩や醤油で味付けしたり、イナゴのように佃煮にする方法もあります。
私がいままでに食べたなかでいちばんおいしかったのは、羽化する直前のセミの唐揚げですな。
干しエビみたいな味がするんです」昆虫はまた、洋の東西を問わず古くから薬として用いられてきた。
迷信らしきものも多々あるが、なかには薬効を安易に無視できないものもあるという。
「たとえばカイコは栄養剤として、虚弱体質者や結核患者に与えられていたんです。
栄養価が高いことからすれば、合理的な発想ですよ。
多くの昆虫は内服薬として使われていたし、ハチミツなどは外用薬としても使われていました」薬が高価で、そう手に入るものでなかった時代には、昆虫の利用は身近な民間療法だったのだろう。
しかし医学が発達し、飽食の時代といわれる現代の日本では、少なくとも昆虫を食べたり飲んだりする必要はないのでは?「いま昆虫を食べたりするのは、昔ながらの習慣とか好奇心、ノスタルジアってところでしょうか。
需要が多いのはイナゴくらいなものですね。
しかし最近、一部の研究者の問では見直され始めているんですよ。
21世紀に確実に起こるといわれている人口爆発を考えると、これほどの豊富なタンパク源をみすみす見逃すのはもったいないと。
アメリカのある大学の先生を中心に、7年前から食用昆虫に関する情報誌も発行されるようになりました。
昆虫が毛嫌いされるのは姿がグロテスクだからでしょう。
なら、原形をとどめないよう粉末にしてしまえばいい。
一種のふりかけですか。
これなら保存もききますしね」健康のため一家にひとびん昆虫パウダー、なんて日がいつか…くる?いま、辛いものが大ブームである。
その味がウケてか、またその刺激を求めてか、しばらくは続きそうな勢いだ。
「でも私は、日本人というのは、辛さに対しては未成熟な味覚をもった民族だと思うんです」と指摘するのは、比較食生態学者のYさん。
「昔、日本人はサンショウをはじかみ、ショウガを土はじかみって呼んでたんです。
それって、両方の辛さを一緒にしていたということでしょ」Yさんは、辛いという味には少なくとも3種類あると話す。
「中国の言葉を借りれば、マーとラーね。
マーはサンショウに代表されるしびれる辛さ、ラーはトウガラシ、コショウ、ショウガなどで、英語でいうホットにあたるものです。
もう一つはカラシやワサビ、大根の類で、私は勝手に冷たい辛さって呼んでます。
というのも、ワサビを食べたときは、辛い辛いといって熱いお茶を飲むでしょう。
だから、冷たい辛さというわけ」Yさんにいわせれば、日本人はこれらの辛味をあまり識別せずにきたということだが…。
「歴史的に、辛味の文化に接してこなかったということでしょう。
東南アジアは紀元前からインドの勢力やアラブの商人が入ってきたから香辛料の文化が発達したんですが、日本にはスパイス自体があまり入ってこなかった。
東南アジアのなかでもフィリピンはあまり香辛料を使わないのですが、結局、日本やフィリピンはインドから遠かったってことじゃないかしら。
それから、海に囲まれていて新鮮な魚が手に入りやすかったから、香辛料で味をごまかす必要がなかったのだと思います」さて、ここで問題。
日本で最も古い歴史をもつ辛い香辛料は何でしょう?答えはサンショウである。
料理に用いていたのはもちろん、昔は虫歯が痛いときに歯につめて、マヒさせるという使い方もしていたようだ。
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